ダイカストとは?
ダイカスト鋳造とは、溶かした金属を、精密な金型に高速・高圧で注入することで、瞬時に製品を成形する鋳造技術のことをいいます。ダイカスト鋳造は従来の鋳造をさらに発展させた工法で、溶融した金属を金型に圧力をかけて注入することにより、高精度の鋳物の短時間での大量生産が可能になりました。ダイカスト鋳造では複雑な三次元形状の製品が生産可能なため、板金よりも自由度が高いといえます。ほかの鋳造法に比べて高圧で成型するため、寸法精度が高いのが特徴です。また金型を使用するため、砂型に比べて滑らかな表面に仕上げることが可能です。ダイカスト鋳造では主にアルミニウム、マグネシウム、亜鉛、銅などの合金が使用されます。それらの素材から家電や自動車部品、ミシンなど様々な製品の製作に活用されています。
ダイカストにおける鋳造欠陥の原因と対策とは?
①鋳巣
鋳巣とは、鋳物の内部に空洞が発生してしまう欠陥現象で、鋳物の品質の低下を招きます。鋳巣の原因は主に空気やガスの発生が原因です。鋳造を行う際、空気が金型内に入り込むことで発生する鋳巣を巻き込み巣といいます。巻き込み巣は、金型内を真空にすることで防ぐことができます。また空気やガスは、溶解金属が冷やされ凝固収縮する際にも発生します。発生した空洞に金属を補充することで鋳巣の発生を防ぐことができます。収縮分の溶融金属を補給することを押し湯といいます
②湯回り不良
融解金属が鋳型内に装填され、鋳物が成形されることを、湯回りといいます。湯回り不良とは、何らかの原因で、湯回りが起こらない欠陥です。鋳型内の温度の低下が原因になるので、温度を高温に保ち、湯の流れを良くする対策が有効です。また鋳型のガス抜きも湯回り不良を防ぐうえで重要です。
③湯じわ
湯じわとは、溶解金属が鋳型内で成形される際に、表面にしわやくぼみが現れる欠陥の事です。金属の温度が低いため溶解金属が十分に融合できず、流れが悪くなっていることが主な原因です。金属が十分に溶解可能な温度を保つことで対策することができます。
④湯境
湯境とは、溶解金属が鋳型に流され、鋳型内の金属と合流す際に上手く合わさらず、合流面がしわとなり表面に現れる欠陥です。こちらも湯じわ同様、鋳型内の温度低下による湯流れの不良が主な原因です。対策として、金属を鋳型に流し込む時間を可能な限り縮め、時間を書けて凝固させる方法が考えられます。
⑤焼付き
焼付きとは、融解金属の一部が鋳型に付着してしまう欠陥のことです。焼付きの原因は2つあります。1つ目はアルミなどの合金素材と金型の化学反応です。化学反応は鋳型内が高温になることで起こりますが、使用する合金素材や鋳造環境によって焼付きが起こる温度は変化するため、思考錯誤する必要があります。2つ目は摩擦による合金素材の破壊です。ダイカストの成形では合金素材と金型の間で摩擦が起こります。その摩擦力が合金素材の強度を上回ると合金素材は破壊され、焼付きが起こります。この場合は理型剤を上手く利用し、摩擦を抑えることで焼付きを防ぐことができます